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マンモグラフィは乳房専用のX線撮影のことです。乳房はやわらかい組織でできているために、ふつうのⅩ線写真とは違い、専用のX線撮影装置を使って撮影します。通常の肺や骨用のX線撮影では、乳房ははっきりとは写りませんが、マンモグラフィを用いることにより、脂肪、乳腺、乳がんを区別して写し出すことが可能になります。このマンモグラフィの画像は白黒の濃度差でフィルムかモニター画面に写し出します。
これまで日本での乳がん検診は、触診を主体として行われていましたが、触診と違いマンモグラフィは小さなしこり(図1)や石灰化(砂粒のように見えるもの:図2)も写すことができますので、しこりが触れないような小さな乳がんを早期発見することが可能となります。特に、早期乳がんのサインである、ごく小さな石灰化を鮮明に写し出せることが大きな特徴です。
マンモグラフィは乳腺の全体像を写し出すので、左右の乳房を比較してみることができますし、過去のフィルムと比較することが出来ますので、経年的な組織の微妙な変化をとらえることができます。40歳になる前に健康な乳房の状態を撮影しておくと良いでしょう(べ-スラインマンモグラフィ)。
ただし、マンモグラフィは、乳腺が密な若い人や授乳経験のない人の場合はX線画像がかすんでしまい、しこりを見つけることが難しいことがあります。また、マンモグラフィはX線撮影のため、妊娠している可能性のある人には適しませんので検査前に必ず申し出てください。
図1 乳がんのしこり
図2 乳がんの石灰化
撮影の時は、上半身の服をすべて脱いで裸になり、撮影装置の前に立って、左右の乳房を片方ずつ台の上にのせて、乳房を樹脂製の圧迫板ではさんで撮影します(写真)。
乳房全体がもれなく写し出されるように、通常の検査では1つの乳房を上下と斜めの2方向から撮影します。撮影枚数は片側の乳房で2枚、左右の乳房を撮影しますからあわせて4枚の撮影を行います。ただし行政が行うマンモグラフィ検診の場合、50才以上は斜めの1方向みで2枚の撮影になります。
撮影の際、技師さんは乳房全体が写真に写るようにできるだけ乳房を引き出して、しかも圧迫板で乳房がだいたい4,5cmくらいの厚さになるまで圧迫しサンドイッチ状態にして乳房を撮影します。この際かなり痛い思いをされる方もおられますが、圧迫することによって、重なりの部分がなくなり 小さな乳がんも写るようなります。
圧迫はとても大事なことですので少しの時間(実際に乳房を圧迫している時間は十秒位です)ですのでがんばってください。でも、あまりに痛い場合には撮影技師にその旨を伝えましょう。当院ではマンモグラフィ撮影認定有資格の女性放射線技師が撮影にあたりますので安心して受けていただけます。
検査時間は全体で15-20分程度かかります。
写真 マンモ撮影ポジショニング
乳房は立体的であるために、そのまま撮影すると乳腺や脂肪などにしこりが隠れて写し出せないことがあります。乳房の中をより見やすくし、診断に必要な良い写真を撮るには、立体的な乳房をなるべく均等に圧迫し薄くのばして撮影することがとても大切なのです(図)。
そのため撮影技師がポジショニング(撮影機械に乳房をはさみ、圧迫して体位をとる)の際に、乳房を精一杯引っ張って広げて圧迫しますので痛みを伴うことがありますが、正しく撮影するために必要なことですのでご理解とご協力をお願いします(実際に乳房を圧迫している時間は十秒位です)。
撮影時にはなるべくリラックスして力を抜くようにすると良いでしょう。
また、圧迫板は一定以上の圧力はかけられないように設計されていますので、ご安心ください。ただし、痛みが強い方、皮膚や乳房に炎症や外傷があり圧迫できない方は撮影を中止することがあります。
また、乳房を圧迫して薄くのばすことにより、Ⅹ線の被曝をより少なくする効果もあります。
マンモグラフィは、手には触れる事の出来ない早期の乳がんの唯一のサインである石灰化や小さなしこりを写すことができるため、症状のない方たちを対象としている乳がん検診の方法として大変優れています。
しかし、若年の方、授乳中の方、手術後の方、非常に乳腺の濃度が高く不均一(高濃度乳房と言います)である方などの場合は、マンモグラフィは異常を写しだすことが難しい場合があります。質の良い撮影と診断が行われても、約10~15%の乳がんはマンモグラフィのみでは見落とされる恐れがあります。
乳がん検診で異常が無かったとしても、自己検診を続ける必要がありますし、その際乳房にしこりや、あるいは気になる症状がある場合は、次回の乳がん検診を待たずに、乳腺専門医のいる医療機関を受診し診察を受けてください。
マンモグラフィはX線検査なので放射線被曝がありますが、乳房だけの部分的なもので、骨髄などへの影響はなく、白血病などの発生の危険はありません。また、X線の波長・エネルギーの最適値も一般的な撮影(骨格など)とは異なります。たとえばX線管の管電圧も一般が100kV前後であるのに対し、マンモ撮影では25-35kV程度となっています。
また、人の体は自然界からも放射線を受けていますが、一回のマンモグラフィの撮影で乳房が受ける放射線の量は、通常0.05~0.15ミリシーベルトあるいはそれ以下となっています。これは東京―サンフランシスコ間の飛行機の中で受ける宇宙からの自然放射線量の0.038ミリシーベルトでほぼ同じ量ですので、マンモグラフィ撮影による危険性はほとんど無いと思っていいでしょう。それより、撮影によって早期乳がんが発見できることのメリットの方が遙かに大きいのです。
ただし、妊娠中の方、妊娠の可能性のある方はお申し出ください。放射線感受性の高い胎児への被曝を最小限にするために、検査方法などを検討させていただくことがあります。
検診で異常が見つかった場合、精密検査として追加のマンモグラフィや超音波検査などを行いますが、がんが疑われる場合は、さらに細胞診や組織診を行ってがん細胞の有無を顕微鏡で確認して(病理診断)初めて診断が確定されます。
マンモグラフィと並ぶ代表的な画像診断が超音波(エコー)検査です。人間の耳には聞こえない高い音(超音波)を体内に送信し、臓器に当たって反射してくる音を画像として表示します。手にふれない数ミリのしこりを見つけだすことができ、主に精密検査に使われます。
エコー検診で乳がんの死亡率を減少させるという証拠は現在のところ示されていません。この点でマンモグラフィとは大きく異なっており、検診の有効性は現在検討されています。
検査方法は超音波を出す器具を直接乳房にのせて動かし、写し出された画像を見ながら行い、検査時間は10分程度です。マンモグラフィに比べて石灰化の診断が困難ですが、しこりの内部構造の鑑別がしやすく、乳腺の密な若い人の診断にも使うことができます(図)。
超音波検査では放射線被曝がないため、妊娠中の人、若い人、乳腺症の強い人などで良好なマンモグラフィ画像が得られない方、頻繁に検査をする必要のある人などに超音波検査が適しています。また乳房を圧迫する必要がないためマンモグラフィの圧迫に耐えられない人に対して行うこともあります。
図 乳がんのしこり
マンモグラフィは、乳がんの初期症状の1つである石灰化を写し出すことができます。
乳房が大きく深部まで超音波が届かない方、閉経後で乳腺が萎縮しその代わりに乳房の多くが脂肪に置き換わっている方などはマンモグラフィが適しています。また、マンモグラフィは過去のフィルムと経時的な変化を客観的に比較検討することが出来ます。
MRIは磁気を利用して身体の断面図をつくります。周囲の血管や筋肉も同時に写し出せるので、しこりの位置が特定できます。
CTでは×線撮影による何枚もの身体の断面図を重ね合わせることにより、乳がんの位置を立体的にとらえることができます。
乳がん早期発見のための検診に用いられるマンモグラフィや超音波検査に対し、これらは主に検診で乳がんが疑われた場合の精密検査や治療計画を立てるのに役立ちます。
乳がんの位置がはっきりとわかるので、手術前に切除部位を正しく把握して手術に役立てることがことができます。
乳がん3DCT画像